株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【社長コラム】手痛い失敗①

今年は大学で講義をという依頼や経営者団体での講演の依頼を多数頂きました。お断りすることも多いのですが、様々なしがらみもあり、お受けせねばならぬことも多々あります。講演の最後にご質問を受け付けるのですが、「失敗事例」を聞かせてくれというリクエストが多いのです。ちょっと自慢話が多すぎただろうかと反省しながら、多数の失敗事例をお話します。負けに不思議の負けなしとは言ったもので、諸条件や初期設定の違う成功事例よりも、再現性の高い失敗事例の方が参考になるのかも知れません。

私もこれまで数多くの失敗をして参りましたが、フリーペーパービジネスに進出したことを覚えて頂いているお客様は少ないと思います。20年前になります。
当時、後に一世を風靡したR社のクーポン中心のフリーペーパーH誌もまだ生まれてない時代です。米国で水曜日に割引クーポン中心のフリーペーパーが新聞に折り込まれるので水曜日は新聞の発行部数が伸びるという話をヒントに久留米市の全家庭に月に1 回、新聞折り込みでお得なクーポンが集合したフリーペーパーを配布することにチャレンジしました。印刷は自社でできるし、きっとお客様のお役に立てるだろうという目論見でスタートしたのですが、始めてみたら大苦戦なのです。飲食店様や美容系という弊社のお客様とは違う層にアプローチせねばならず、営業面で大変苦労しました。(あの当時、ご協力頂いたお客様への感謝を忘れたことはありません)発行日を決めると広告枠が埋まってなくても印刷、折り込みせねばならず高額の固定費が重くのしかかりました。
全国で成功しているフリーペーパーの経営者さんに話を聞きに行ったり、いつかは好転するだろうと弊社営業にも発破をかけ続けましたが、とうとう力尽き、廃刊に至ったのでした。

印刷代、折り込み代、制作代に加え、大きな営業のリソースを無駄に使ったことまで考えると、損失は2000万〜3000万円くらいではないでしょうか?当時久留米には人気のフリーペーパーが2誌もあり、自分たちがやればもっと良くできるとの過信もあったのは否めません。廃刊後しばらくしてから、同じようなコンセプトのH誌をR社が成功させ、忸怩たる思いでしたが、20年経ってみて、H誌はおろか、久留米で人気だった2誌も廃刊や企業倒産に追い込まれました。WEBやスマホという新しい
イノベーションが台頭する中、紙のフリーペーパーは時代遅れの難しい事業だったのです。しかも自分たちの力を過信していました。

しかし、この失敗によって、本業の有難さ、確かさを真に理解できたのです。社内では黒歴史とされ、タブー視されていますが、この失敗によって学んだことも小さくありません。今後もチャレンジと失敗を繰り返すと思いますが、失敗により多くを学びとりながら私も会社も成長して参りたいと思います。

平木 洋二