株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【社長コラム】ダム式経営

5年前に建てた印刷工場の2Fには大会議室がございました。皆で集まり、意志を伝える場としてどうしても欲しかったスペースです。100人は余裕で収容できる規模でしたので、期初の経営方針発表会、

月1回の営業会議、工場会議でも使用していましたし、社内の様々な勉強会、お客様向けのオープンハウス・セミナーなどに活用しておりました。お客様の中にはご記憶にある方もおられると思います。大型のプロジェクター、TV会議システム、音響も完備していたのですが、このコロナで集まるはずもなく無用の長物となってしまっていました。

その大会議室を3月に大幅に縮小しました。そこに替わって鎮座したのはWeb制作課です。コロナ禍でもWEB系のお仕事のご依頼を多く頂いた上に、自社の様々なサイトを制作・運営して行かねばなりません。

スタッフも増え続け、以前の場所では超過密になってしまっていました。新しい社屋も計画中ですが、とても間に合いません。近くの企業様の空いている社屋を使わせて頂くことも検討したのですが、思ったより家賃が高額で、このコロナ禍でキャッシュアウトさせるくらいなら、いっそ使っていない大会議室を潰そうという結論に至りました。同時に工場内で材料置き場になっていた場所でも材料を近くの外部自社倉庫に移動させ、空いたスペースに新しい生産設備も入れました。

随分反対意見もありましたが、コロナ禍という非常時ですから、30代の頃に大前研一さんの学校で「経営の基礎」だと習った「固定費に対する限界利益の貢献の最大化」を愚直に行いました。しかし、今回はなんとか急場を凌いだものの、もう何処にも生産設備を入れる場所は残っていません。

先日アイリスオーヤマの大山会長の著書を読んだのですが、アイリスオーヤマさんでは常に工場には3割以上の余裕をもたせているそうで、このコロナ禍でも素早くマスク等の増産に踏み切れたと仰っています。比すれば、私はなんと長期的視点のない経営をしているものよと大反省させられました。「3割の余裕」は言うは易しで、 過剰投資と紙一重ですから、実際にやるとなれば結構な勇気が要ります。松下幸之助翁の「ダム式経営」とも通底するお話だと思います。幸之助翁も講演で

「どうやったらダム式経営ができるのか」と聴衆の一人から問われ、「私にも分かりません、ダムをつくろうと強く思わないかんですな」とお答えになったとか。聴衆はどっと笑ったが、その講演を聞いていた京セラの稲盛さんは衝撃を受けたとか。稲盛さんは著書やご講演で「思い」の大切さを繰り返し述べられています。

勇気をもって余裕のある採用や投資を行う。チャレンジしたいと思います。

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