株式会社丸信

三方よし通信

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【社長コラム】最低賃金と生産性向上

先日、過去最大の最低賃金の引き上げが発表されました。「このコロナ禍になんで?」と率直に思いました(経営者の方は共感して頂けると思います)。即座に日本商工会議所などの中小企業の諸団体は強い反対を表明しています(昨年はコロナで引き上げが見送られました)。

ただ一方で日本の最低賃金は先進主要国では最下位であり、いまや韓国よりも低いのも事実のようです。最低賃金を国際水準まで断続的に上げるのは菅首相の強い意向でした。今後、政権が変わって政策が変わる可能性はありますが、私は今後も上がり続けると覚悟しています(この執筆時点では次の首相は決まっておりません)。

その理由はやはり労働人口の減少です(下のグラフは弊社の節目節目の会議で必ず社員さんと眺めているものです)。この国は、人類の有史で経験のないほどの急速な人口・労働力の減少に直面します。若い人の取り合いはもう数年前から始まっています。今後も坂を転がるように採用環境が悪化し続けるのは間違いありません。政府が最低賃金を上げなくても、自ずと給与水準を上げないと人を確保できなくなると予想されます。もう女性の社会進出は一巡しましたので、残るは65歳以上の高齢者の労働参加と外国人だけとなります。弊社も利用していますが、海外から批判の強い技能実習制度がどれだけ続くのか不明です。

そもそも、これだけの減少を補うには毎年60万人~70万人の新規の外国人が必要となります。高齢者も70代前半くらいまではお元気ですが、流石に75歳、80歳で働く意欲と健康を維持しておられる先輩方は減るでしょう。そうなると残される道は、より少ない人数で生産性を上げて、今の仕事量を受け持つしかありません。政府の基本方針もこの生産性向上にあるようです。さもなければ、GDPを維持できませんし、高まる医療、年金、福祉などの社会保障費を賄うことができないからだと思われます。実は国際的な統計では最低賃金と生産性の間には強い相関関係があるのが示されており、生産性向上の為にはまずは最低賃金UPだとなったのだと思います。

いずれにしても最低賃金の上昇は企業として人件費の上昇に直結します。付加価値や生産性の向上を目指さないと、ただ利益が減り、赤字転落になるだけです。生き残りを賭けて、賃金を上げることと生産性を上げることとを両立させるしかないのだと覚悟しています。

弊社は概してITリテラシーの高くない社員を大勢抱えてしまっています。恥ずかしながら何十年も仕事のやり方が変わっていない部門もあります。今はまず、「RPA」や「DX」だと言葉のシャワーを浴びせることから始めています。変化を常態化させなければと一人焦っておる所です。

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