株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【印刷の現場より】カラー印刷の”Key Plate”

今回は「墨」と呼ばれる黒インクのお話です。

印刷オペレーターとして入社3か月の新人さんにこんな質問をしました。

「カラー印刷の4原色はCMYKといいます。Cはシアン(Cyan:水色系)のC、Mはマゼンタ(Magenta:ピンク系)のM、Yはイエロー(Yellow:黄色)のYですが、Kは何のKでしょう?」

すると、「 KはKuroのKです」と返ってきました。色としては正解、意味としては不正解です。

CMYKは海外の印刷業界でも通じる表現で、黒は日本語。正解は「Key Plate」のKです。輪郭線や文字など、しっかりした黒を出すためにキーになる色という意味。印刷業界では、黒を「墨」と言うことが多いです。

理論上、カラー印刷でシアン、マゼンタ、イエローを100%ずつ乗せると黒になると言われますが、実際の印刷ではメリハリのない濃いグレーのような色になります。そこで重要となるのが、黒さの補色としての墨です。

例えば墨に近い茶色を出すとき、C70%、M100%、Y90%で黒みがかった茶色になります。しかし、もっと暗くしたい、もっと赤くしたい等はできません。Mが100%以上にできないからです。そこで墨の出番です。

前述の通り、3色掛け合わせると墨と同じ役目をします。そこでCMYをKで代役させます。ざっくり説明すると右図のイメージです(※実際は墨の色目で若干バランスが変わります)。

Mが100%から40%に下がりKが加わったことで、色を暗くすることも、赤くすることも可能になります。

さらにもう一つの利点があります。最初のCMYは合計260%、変更後のCMYKは合計130%。何と約半分のインキで同じ色が出せます。つまり省資源、環境にも良いのです。

また、インクの重なりが減るということは、色の安定にもつながり、品質も良いのです。まさに、墨は「Key Plate」だなと思う今日この頃です。

墨に感謝です。

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