株式会社丸信

三方よし通信

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【社長コラム】インボイス制度

10月からインボイス制度がスタートしますが、2022年12月末時点で法人の登録率は8割を超えているようです。一方、個人事業主に関しては30% 未満と低水準のままとなっています。

通常、法人は売上時にかかる消費税から、仕入(及び経費)にかかる消費税を差し引いて納付します。よって法人は消費税による損も得もありません。

しかしこの10月の改正では注意が必要です。我々一般企業はインボイスに登録して請求書に登録番号と消費税率、税額が記載されていれば適格請求書となります。弊社のお客様は制度導入にはほぼ問題がないと思われ、ほとんどの企業様がすでに準備を終えておられるものと拝察します。

しかし、仕入先や外注先、経費の支払い先(飲食店など)がインボイス制度に登録せず、免税事業者のままである場合には、それら免税事業者に払った消費税は納税時に仕入にかかる消費税として控除できません。

ただし経過措置として、令和5年10月1日〜令和8年9月30日までの3年間は80%を控除可能、令和8年10月1日〜令和11年9月30日までは50%控除可能となっております。それでも一定の消費税が控除できなくなります。その分は我々が被ることになります。

10月1日以降、会食の際に利用する飲食店はインボイス対応かどうかを予約時点で確認するなどが必要となります。大手のチェーン店など経営規模の大きな飲食店は即時対応すると思われますが、小規模だったり、経営者が高齢者の場合は、ずっと未対応の可能性もあるかと思います。社員にも周知が必要かと思います。

我々が消費税の控除が無い事(6年の経過措置後は)などを考慮してお店や個人事業者を選び、それがプレッシャーとなって数年後には多くの飲食店等の事業者がインボイス登録し、課税逃れできないように捕捉するのが制度導入の目的かと思われます。

弊社の場合は、一部の業務(デザイン等)を個人事業主の方に担って頂いており、現在インボイス登録の確認とまだの方には登録のお願いをしております。

公正取引委員会では本件について、免税事業者に対し、インボイス未登録を理由に著しく不当な価格でない限りは、価格交渉はしても良いと判断を示しています。著しく不当でないとはどういうことか?

経過措置で最初の3年は8割は控除可能ですから、

10%×(1-0.8)=2%

最初の3年は2%程度の値下げ要求はOKと思われます。これを超えれば不当というわけです。

また、取引を止めても良いが、インボイス未対応を理由に大幅値下げの要求によるものだと、優越的地位の乱用にあたると判断されるようです。インボイス未対応を理由に返品することなども同様に優越的地位の乱用にあたります。

大きな改正となりますが、上記の点に留意し、しっかりと対応していきたいところです。