株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【印刷コラム】文字が見やすいのはどっち?

箔にはツヤ箔(光沢がある)とツヤ消し箔(光沢がない)があります。先日、どちらがバリが出にくく抜き文字が見やすいかが論議になりました。

Q.バリとは?

箔(ホットスタンプ)の裏面の糊を熱で溶かし、紙等に定着させるのですが、箔フイルムから剥離する際のちぎれた残りの部分をバリと呼んでいます。ちぎれた跡なので箔のラインに沿ってギザギザに残ります。もちろんバリは少ない方が奇麗に見えます。

  • 箔制作者「ツヤ消し箔の方がバリが残りずらい」(経験上)

  • 箔メーカーA氏「変わらないのでは?どちらかと言えばツヤ消し箔の方がバリが出やすい」

  • 箔メーカーB氏「ツヤ消し箔の方がバリが残りやすいです」(箔が柔らかいので)

*バリを軽減させるためには硬い箔を使うことが多いです。

意見が完全に割れましたので検証を行いました。同じ箔版で、ツヤ消し金箔とツヤ箔のフィルムだけを変えて実際に紙に箔押しをしてみます。圧や熱でバリは増えるので、わざとカスれる状態(圧が足りない状態)で比較しました。

結果は、なんと箔作業者の言う通りツヤ消し箔の方が抜き文字が太く奇麗に出ました。箔の担当者に何故だろうと聞くと「理由は判らないがそうなんです」とのこと。そこで、さらに検証です。

まず、50倍ルーペでバリの状態を確認しました。ツヤ箔の方は、圧も軽くしていたことにより、バリもなく良い感じです。
次にツヤ消し箔を確認すると、バリがないだけでなく、かつ、箔版の線より箔が内側に来ているように感じます。

Q.なぜ?

恐らく、これはラミネートの袋でどこからでも切れる袋がありますがこれと同じ理屈ではないかと考えました。

艶を消す方法としては、平滑性を無くすことです。表面に凹凸をつけたり、粒の大きな粒子を混ぜて光を乱反射させて分散させることでツヤはなくなります。この凹凸や粒子が切れ目の役割をして箔を切れやすくしている。また、箔版より細く出るということは場合によっては定着した架線部上のエッジで切れている可能性がある。

私は「ツヤ箔はコッペパンみたいに継ぎ目がないので半分に割ろうとしても奇麗に千切れない。つや消し箔は、凹凸や粒子の継ぎ目から切ることが出来るからちぎりパンみたいにきれいに千切ることが出来る」のではないかと説明しました。また、この検証をしている時に、箔の抜けを確認する際は、マットPP を表に貼ると箔の状況が見やすくなることを発見しました。これは、箔押しによる凹凸と箔の反射を無くすことで箔が見やすくなります。

今回、検証したことで色々な新発見がありました。きっかけを作って頂いたお客様、協力してくれた箔メーカーの皆さん、箔の作業者に感謝です。