株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【社長コラム】合成の誤謬(ごびゅう)

「コスパ病」の著者、小島尚貴(こじまなおたか)氏のご講演を拝聴しました。小島氏は日本経済の長期低迷の原因は「安さ」を追い求める我々自身が招いたことだと喝破されます。

日本の製造や品質管理のノウハウを海外に流出させ、人件費の安い地域で製造したものを輸入することで超低価格を実現している日本固有の「自損型輸入」により国内の生産者を貧しくし、回りまわって日本の国力を削いでしまっているというお話です。我々消費者が1円でも安いものをと追い求めた結果、日本の産業衰退を招いてしまった、まさに「合成の誤謬」です。衣類や日用雑貨、一部の農産物までもがこれに該当します。

30歳前後の頃、営業に出ると、一部のお客様から「地元の業者に印刷依頼したい」と仰って頂き、応援して頂いたのを強く覚えています。恥ずかしながら、当時の弊社の技術力は十分でなく、品質等でご迷惑をお掛けした事も多々ありました。あるお客様は弊社の競合にその解決法を尋ねてくださり、それを私に教えて下さった事もあります。

「どうしてですか?」

「お金は地域で回さなきゃね」

今でもこのご恩を忘れたことはありません。居酒屋でそのお客様(酒造会社)のお酒を見つけたら必ず注文するようにしています。「できるだけお客様の製品を買う」これくらいのことは私も行動して参りましたが、小島氏はもっと踏み込んで地元製造のものを地元の小売店で買うべきだとご提言されています。「自損型輸入」によって既に国内の技術が失われたり、地場に地元資本の小売業が消えている場合もあるかも知れません。

それでも我々が出来る事はできるだけ地元のお店や会社からできるだけ地元に近い生産地のものを一消費者として購買すること。それがこの悪循環を断ち切ることに繋がるのだと気づかせて頂きました。講演の翌日、手土産が必要で百貨店に行ったのですが、早速福岡県のお客様のお菓子を購入しました。

スーツこそ違いますが、その他は全身ユニクロの私が偉そうには申せませんが、今後は購買行動を少し変えて行こうと思ったのでした。