株式会社丸信

三方よし通信

三方よし通信

【社長コラム】インバウンド向け二重価格

 

J Rグループは訪日外国人向けに販売していた「ジャパン・レール・パス」を、昨年の10月に約1.7倍に値上げしました。
ジャパン・レール・パスとは、JRグループ6社が共同して訪日外国人向けに販売しているパスで、日本中を鉄道で旅行するのに適しています。グリーン車用と普通車用の2種類があり、それぞれ7日、14日、21日間パスに分かれています。と言っても元々が格安だったので、駅や新幹線の混雑に悩む日本人の立場からしたらもっと値上げしても良いのにと思わなくもない。
これら日本人のアンチ・オーバーツーリズムの心情を反映してか、人気観光地の各地で訪日外国人向け価格や高価な特別サービスを提供する事例が増えているようです。
「横浜 なだ万」で提供されるインバウンド向けコースは、毛ガニの南禅寺蒸し、伊勢エビの姿造り、飛驒牛やあわびの鉄板焼き、鮨、静岡産マスクメロンがついて1人6万5千円(個室)。日本人向けに最も高額で提供されていたコースの約2 倍です。それでも人気があるのだとか。築地場外ではうに丼が2万2000円で提供されたり、2万円台の海鮮丼が提供されていますが、それでも、かなり売れています。

歴史的円安による空前のインバウンドブームですが、オーバーツーリズムは京都などの人気観光地では深刻化しつつあります。
地方に住む我々も出張時の宿泊料が高騰していて困るという場面が増えてきました。
外国人客には価格や料金を高く設定し、お店やホテルは増収増益を維持する、あるいは地域インフラの維持に役立てたりしながら、外国人の需要抑制につなげ、日本人向けには従来の価格で提供する二重価格制はオーバーツーリズムの解決の一助となる可能性があります。九州ではまだ二重価格の事例は少ないですが検討しても良いタイミングかも知れません。

平木 洋二